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短編 腹痛
 突如としてやってきた腹痛に、思わず身を丸くする。
 幸いにも体を丸めたら痛みも幾分和らいだような気がして、ほんの少しではあるが安堵感が生まれた。
 ただ、それで完全に痛みが消えるなどという都合のよいことは起こるはずがなく、絶えず続く内臓をちぎられるような痛みに耐え続けなければならない。
 本来であれば、すぐさま家族に連絡するなり救急車を呼ぶなり、色々と方法はあるのだろうが、残念ながら今の自分にそんな余裕はなかった。
 声を上げることすら苦痛に思えて、今を耐え抜くことだけに全神経を集中することで、なんとか持ちこたえている感じだ。
 全身から汗が噴き出すのがわかる。
 その汗によってびしょ濡れになったスウェットに不快を覚えることもない。
 ただ意識は腹部に生じる痛みの根源――その一点にのみ向けられていた。
 きっとここがベッドの上でなければ、きっとのたうち回っていたことだろう。
 呼吸が浅くなる。
 深い呼吸をしてしまったら、痛みのある箇所が刺激されてしまうような、そんな気がしたからだ。
 どれだけの時間、痛みと闘っていただろうか。
 体感ではもう数時間近く苦しんでいる印象なのだが、実際は数分かもしれない。
 少しでもこの痛みの波が弱まってくれるか、諦めて引いてくれるのを祈るばかりだ。
 結局、腹部の痛みが引いてまともに動けるようになったのはそれから大分たってのことだった。
 というのも、時間なんて確認できていなかったからだ。
 突然腹が痛みだして、すぐ身体を起こし、スマートホンを起動し、時間を確認するだなんてこと、日常的に行っていない限りは不可能だろう。
 そもそも、それだけ動ける程度の痛みであれば自分で何とかしているところだ。
 まだ痛みが残っているような変な感覚に、思わず手をあてがいながら穏やかな呼吸を心がける。
 いつぶり返してくるかもわからない痛みを想像したら、到底寝なおすなどできなかった。
 とりあえず今はこうして心を落ち着けるのが最優先だろう。
 そして、ある程度落ち着いたら水でも飲んでおこう。
 肌に張り付く着衣の感覚が、みょうにねっとりとして、不快だった。
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