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短編 緑の町
 噂には聞いていたが、いざ実際に訪れてみるとこの町はやはり噂にたがわず異質な雰囲気を放っていた。
 まず最初に思うのは、目に入ってくる風景だ。
 建立している家や公共施設、店舗の他にも道行く人々の服装まで、すべてが緑一色に統一されていて、一瞬ではあるが自分の目がおかしくなってしまったのではないかと、目元をこすってしまう程だった。
 もちろん、人の肌や髪の毛の色まで緑という事はなかったが、それでも私の驚きを買うには十分だ。
 これまで訪れた町や村では、それぞれの地域で若干の差異こそあるが、おおよそが石やレンガ造りの建物か、樹木を巧みに組み上げて造られたような自然色豊かな建物の二種類だ。
 それらであっても、偶然に周囲の自然環境と溶け合っているような色合いになることはあるが、こうして意図的に一色の色彩に統一するのは珍しい。
 一体何の目的があってのことなのか、個人的には大変気にはなるが、まずは何より有力者への面会が最優先だろう。
 経験上、いきなり宿や飲食店に出向くのはリスクが高い。
 何故なら人の出入りが少ない町や村というのは、住人のほぼすべてが顔見知りといったところも少なくない。
 なのでそこへ見知らぬ人間が入り込んだら誰もが警戒し、場合によっては警備隊やら保安隊やらに連行される可能性もあるのだ。
 国際的にはそういった風潮を批判する流れになっているが、それをこの小さな町村ひとつひとつが徹底するなど到底考え難い。
 そういう意味では、自分の身を守る為にも有力者に顔を見せて害のないことを周知してもらう必要があるのだ。
 更にはそこで有力者の名前を知れば、保護の傘の下にいるも同意。
 ケンカ沙汰や犯罪行為でも行わない限りは大抵擁護してもらえる。
 こういう場所の有力者というものは、例にもれず客人に対していい顔をして、自らの権力を見せつけたいという願望があるものだ。
 それを逆手に取るというと言い方が悪いが、これも立派な渡世術。
 使えるモノを上手く使わなければ旅などして生きてはいけない。
 この町が何故緑色なのか。
 人々の服装も何故緑なのか。
 それを尋ねるのは、どこかにいるであろう有力者に会ってからでも遅くはないだろう。
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