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短編 プロローグの世界
 世界が闇に包まれて数か月。
 当初は不安から怯え引きこもっていた人々も、この風景にも慣れ再び普通の生活に戻っていった。
 唯一の違いといったら、空が若干薄暗くなり、紫がかったモヤが雲のように流れていることくらいだ。
 それで体調でも崩したりしたなら違ったのだろうが、人々の身体に直接害を与えるなどといったような事もなく現在に至っている。
 そんなわけで、諸悪の根源に対して何らかの対策を打とうなどという意見も時間と共に消え去っていった。
 人間というものは良くも悪くも慣れる生き物なのだとよくわかる事例だろう。
 だが、それ故に危機感も薄れているのは紛れもない事実だった。
 最初の内は近寄らないよう言われていた場所にも次第に近づくようになり、昔のような生活に戻ろうと少しずつ活動範囲を広げていく。
 ただ、そこに居たはずの動物や小鳥たちは姿を消している。
 ただならぬ気配。
 不穏な空気。
 安全な地を目指して、皆移動をしていたからだ。
 しかしながら、そこへ再び足を踏み入れた人間たちは違和感こそ覚えても、危機感はまるで覚えていなかった。
 異様な静けさ。
 まとわりつくような重々しい空気。
 それらを振り払ってでもそこへ向かおうとしたのは、何といっても人間の持つ欲に他ならない。
 高値で売れる果実や薬の原料となるような植物が群生している地域は、人間の持つ欲求を満たすには十分な資源を有していた。
 念のために持ってきた防護用の木の棒を片手に、深く深く闇の地を進んでいく。
 そして、不意にその瞬間は訪れた。
 最初は影が揺れたような、そんな気のせいともいえるような変化。
 だが、実際は影に何者かが入り込んだ瞬間。
 それに気づかず、その者は木の実を取り、薬草を摘む。
 そして意気揚々と自分の村へと戻るのだ。
 そうなったら最後、影から闇の者が本性を現し、村へと飛び出す。
 ほんの一日の出来事だった。
 つい先日まで普通に存在していた村の人間が原因不明の病で倒れたとの報道が他の町村へと流れたのだ。
 だが、その原因が影に潜む魔物めいた何かだということは述べられていない。
 人間たちがその真実に気づき、根源を断たねばならぬと重い腰を上げるまで、あと少しの時間が必要だった。
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