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短編 ベンチの上で
 今自分が立っている世界を、あと15度くらい傾けてしまったら、一体どうなるのだろう。
 そんなくだらないことに思いを馳せながら、公園のベンチの上で横になっていた。
 元々人が寝る為に造られたものではないので、ハッキリ言ってそれほど寝心地はよろしくない。 
 幅も割とギリギリで、足の先をベンチから放り出さなければ窮屈な体勢になってしまう。
 うっかり眠ってしまったりしようものなら、身体の節々が痛むこと違いないだろう。
 それでもこうして横になるのは、やはり視界いっぱいに広がる青空を眺めることができるからだ。
 遮るものなど何もない。
 代わり映えしないようで、常に形を変えている世界。
 色んなもので溢れる日常とは乖離した時間。
 それを過ごすことができるというのは、生きることに疲れた自分にとって、貴重なものだった。
 ただ、唯一の不満は、眩しすぎる日差しだ。
 固定されているベンチの上では、どれほど眩しくともそこから逃げることはできない。
 特別日焼けが嫌だとか、そういうわけではないのだが、目のやり場に困ってしまうというのが一番の理由といえよう。
 自分は上を向いていて、太陽は下を向いている。
 その事実から、避けることなど到底かなわないささやかな希望であるとはわかっているのだが、全てを望むというのもわがままが過ぎるのだろうか。
 この世界があと15度傾いていたら――。
 ほんの少し世界は狭くなって。
 ほんの少し過ごしやすくなって。
 ほんの少し、寝苦しくなる。
 自分自身、そんな架空の世界を経験したことはないのだけれど、その世界にはその世界の苦難があったりするのだろう。
 でも、それを知らないがゆえに望んでしまうのも人間の性なのかもしれない。
 今の自分が得られない物を得ようとして。
 別の世界の自分が得られていない物は手放したくなくて。
 わがままな生き物だという自覚も見てみぬふりをする……。
 改めて人間という存在に疑問を抱いてしまうのは、やはり自分の価値観というものを確立できていないせいなのかもしれない。
 もうしばらくは、自分の価値観を見つけるために生きた方がいいのかもしれない。
 降り注ぐ日差しは、今も切れ目なく心の奥底まで突き刺さっている。
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