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短編 偽物
 自然と目が覚めて数秒。
 すぐにまたぶり返してきた眠気と葛藤しながらこれからについて考える。
 別に寝ていても問題はないという結論に傾きかけるが、半日を惰眠に預けるというのも惜しい気がして、最後の瞬間まで迷いながらも体を起こす。
 着替えに関しては大してこだわりはない。
 適当にシャツとパンツを引っ張り出して、寝起きの身体をねじ込んでいく。
 熱気を帯びた身体が冷やされて、感覚がより鋭敏になっていく。
 特別出かけるような用事もないこともあって、準備は簡素だ。
 部屋の扉を開けるころには、もう普通の顔になっていた。
 向かう先は洗面所。
 軽く顔を洗い、脂と一緒にこびりついた微細な眠気を洗い流す。
 ついでにコップで口の中をゆすぎ、遅めの朝食へと備えた。
 しかし、そんな爽快な瞬間もわずか。
 日常のサイクル的に、次に向かうのはリビング。
 できることなら極力行きたくはない部屋の一つだ。
 それでも習慣というのは恐ろしいもので、どんなに行きたくないという感情が働いても、行かなければならないという謎の義務感が体を引っ張り、強要する。
 結果、目覚めの時よりも緩慢で重い足取りでリビングまで向かう事になる。
 無言でリビングの扉を開けると、そこにはやはりいつもの顔ぶれがあった。
 あいさつはない。
 する気もないし、仮にされたとしてもまともに返すなどという頭もない。
 冷え切った関係という言葉が、現状では一番わかりやすい例えだろう。
 テレビではいつもの情報番組。
 芸能人が好きかって言っている様が妙に不快だった。
 それを知っていてなのか、更に自分を煽る様に家族は親戚の愚痴や不満を楽しげに話している。
 そして、それを耳にするたびにまた同じことを思うのだ。
 ――どうして自分はこんな家に生まれてしまったのだろうかと。
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