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短編 想い馳せて
 どこまでも伸びる空の遥か向こう――そこに君はいるのだろう。
 今となってはもう会う事もできない君だけど。
 僕がこうして空を見上げていれば、一瞬でも君に顔が見えるかもしれないと、そう思えて――。
 今までの自分では絶対に考えられないような、こんな夢見がちなことをしている。
 そう、僕は変わってしまったんだ。
 ――君と出会えたから。
 ――君がいてくれたから。
 自分で意識することはなかったけど、少しずつ、でも確実に、一人の人間を大切にしたいと思えるようになっていった。
 だからこそ、こんなにも切なくて、居たたまれなくて、心が揺らいでいるのだろう。
 本音を言っていいのなら、今すぐにでも君の傍へと行きたい。
 でも、現実はそれを許してはくれないし、君もそれは望まないだろう。
 ……優しい君のことだから。
 僕が知っている君は、いつも僕のことを気にかけてくれていた。
 ……そう、自分のことよりも、僕のことを。
 どうして僕なんかのことを気に留めてくれたのかは今でもわからない。
 ただ、君の言葉を借りるなら、やはり運命を感じたから――なのだろう。
 君と出会うのが運命なのだとしたら……君との別れも運命だというのだろうか。
 君がいたころは、僕の居場所は君がすべてだった。
 他に何もいらないと思えた。
 それなのに、君がいなくなったら……僕はどこに行けばいいというのか。
 ――もう、身も心も君に捧げる覚悟だったというのに。
 周りは、子供の戯言だとかお遊びだとか言っていた。
 でも、そんなのは気にならなかった。
 わかってくれなくても構わなかった。
 それは、全部君がいたから。
 君がいなくなった今……君がこの空の向こうに消えてしまった今……。
 僕は、これからどうすればいいのだろう。
 空はうっすらと雲がかかり、僕を照らす陽光をそっと遮っていった。
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