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短編 ビー玉ころころ
 机の上を不規則な動きで転がっていくビー玉。
 それは別にビー玉や机に特殊な加工を施しているからなどというわけではなくて、単に机の上に生じた微細な凹凸と物理法則によるものだ。
 もっとも、この机が不良品だからだとかそういうわけではない。
 木製の机は経年や周囲の環境によって、人の目には見えない程度の変化は普通にあるものだ。
 また、人間が利用する分においてはまったくといっていいほど問題ないレベルだ。
 ただ、ビー玉を固定するための平面として造られたわけではないので、注意しなければそのまま机の外へ落下してしまうという危険もある。
 まぁ、ビー玉が転がって自分の知らないどこかへ転がっていく分には個人的には構わないのだが、それを誰かに注意されるという事がうざったい。
 だったら何故机の上にビー玉があるのかという話になるのだが、それは特に理由はない。
 偶然机の中をあさっていたら、ビー玉が入っていた――それだけだ。
 さすがにビー玉が落ちたくらいではそれほど音は響きはしないだろうが、それでも音はそれなりに聞こえはする。
 休み時間にこうして遊ぶ分にはよほどのことがない限りは責められることもないだろう。
 ただ、傍から見て、一人机の上でビー玉転がして遊んでいるという構図は、どうにも寂しすぎる節がある。
 変な噂でも立たなければいいがとは思うのだが、それは考えすぎだろうか。
 しばし考えてみたが、やはりそれは気にかけすぎだという結論に至る。
 人間など、他人が何をしているかなんて気にしないものだ。
 気にする人間は、自分を他人と比較することで普通を保とうとしているのだろう。
 目の前で緩やかにカーブを描きながらビー玉は机の端へと向かう。
 だが、机は目に見えないくらいの角度ですり鉢状になっているらしく、すぐさま机の中央へと戻っていった。
 あと少し、勢いがついていたなら机の外へと飛び出せたのに。
 ――いや、飛び出したら周囲の視線が一斉に向いてしまうのであまり好ましくはないのだけど。
 枠から外れそうで、外れることができない……そんな自分とよく似た小さなビー玉は、今も机の上をうろついている。
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