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短編 空から追う者
 上空から聞こえてくる喧しいプロペラ音に、俺はとっさに近くの物陰へと逃げ込んだ。
 物陰といってもどこでもいいというわけではない。
 特に、上空の視線から逃れるには屋根あるいは大きく枝を広げた樹木の下へと向かわなければならない。
 そういう意味では近くに雑居ビルがあったのは運がいいと言えるだろう。
 ビル自体も大して大きい物ではなく、一階には郵便用の集合ポストとエレベータがあるだけだ。
 階段もあるのだろうが、玄関から見える範囲にそれは確認できない。
 ともかく、人目をそれほど気にしないで済むというのは大きい。
 とりあえずビル内の人が降りてくるならエレベータもしくは階段を降りる音が聞こえてくるはずなので、余程のことがない限りは大丈夫だろう。
 できるだけ自然を装ってドアのない玄関から外の様子をうかがう。
 これで缶ジュースでも口にしていたなら、休憩がてら外に出てきたビジネスパーソンに見えるだろう。
 実質、やましい気持ちがあるわけではない。
 それこそ、つい数分前までは何も気にする事無く外を歩いていた。
 だが、自分自身に何も心当たりがないが故に、困惑していたりもする。
 最初は遠くで聞こえていたプロペラの音が徐々に大きくなり、風圧も徐々に強くなってくる。
 それが自分のほぼ真上から迫ってきていたなら、だれであっても逃げ出してしまうだろう。
 よく映画だとかで、巻き込まれ系の主人公が似たような目にあったりはするが、自分には彼らほどの運動神経も頭のキレもない。
 だからこそ、被害の及ばないところまで逃げるしか選択肢がないのだ。
 万が一、自分は潔白だと言い張ってその場にとどまっても、それで助かる保証などありはしない。
 えん罪など、相手の気分次第で容易に作り出すことは可能なのだ。
 とにかく、今は何とか逃げ切るしかない。
 もしくはこれが変な夢であればなお良い。
 明らかに異常に高度を落としたヘリコプターが街中を飛び回る。
 これから自分はいったいどうするべきなのか。
 果たして自分が目的なのか、偶然目についた標的を追い回しているだけなのか。
 こういう時ばかりは相手の思考を知りたくなる。
 だが、今はここで時間を潰し、相手が去るのを待つのが一番の得策だ。
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