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短編 バスケットボール観戦
 耳に入ってくるのは、キュッキュッとシューズの底が床と擦れる小気味良い音と、ダンダンダンとこれはまたシューズを床へと押し付ける音。
 それらが十数人バラバラに動いているのだから、この広い体育館も、とても賑わいでいる。
 だが、その音に耳を傾ける者などほとんどいない。
 その多くはそれらのシューズを履いている選手の挙動――それと彼らが懸命に奪い合っているボールの行方を気にしていた。
 白いユニフォームの選手たちと、緑色のユニフォームの選手たち。
 それぞれがボールを手にしながら相手の陣地内へ攻め込み、頭上に設置されたバスケットの中へとボールを放り込んでいく様は、近くで見るとより迫力があって圧倒される。
 ゲームのペースもサッカーや野球と言ったスポーツに比べて早い。
 素人であるなら、ボールの動きを目で追うだけで精いっぱいだろう。
 今も、コート内では選手たちが自陣から敵陣へ向けて攻め始めた。
 時には弧を描いた、また時には直線的にボールを味方へと渡していく。
 場合によってはコート上にバウンドさせたりもしながら、いかに相手の守備を崩そうか画策する様は、見ているとつい熱中してしまう。
 外から観戦しているだけでそうなのだから、実際にプレイしている人々はより視野が狭くなりがちだろう。
 にもかかわらず、観客の予想を裏切るようなパスやドリブルの選択をできるのは、長年培ってきた経験と練習の賜物といえる。
 スポーツにおいて盛り上がりという場面のある球技は比較的多かったりする。
 それは大抵の場合、相手のゴールへと攻め込む場面であったり、試合が決定づけられるかどうかの瀬戸際となる終盤の場面においてだ。
 だが、バスケットボールの場合は細かな点の奪い合いが主となっているせいか、どうにも忙しない。
 数分でゴールが決まったかと思えば、また同じくらいの短いスパンで奪い返される。
 そんな競技だからこそ、頭も体も疲弊が著しい。
 見ているだけでこちらの息も上がってしまいそうな熱戦は、ようやく折り返しを見せる。
 点差はなく、残り時間も二分ほど。
 早ければ二回、攻めきれなければ攻撃のチャンスはこれで最後という場面。
 観客の盛り上がりも疲れが見え始めているが、それでも応援の声は小さくなることはなかった。
 選手の一人がボールを受け取り、シュートのモーションに入る。
 そして、手から放られたボールがきれいに回転しながらゴールめがけて飛んでいく。
 慌てて止めに入った相手の手はボールには届かない。
 思わず見入って足を止めそうになる時間。
 だが、ゴールの下だけはその例外だった。
 ボールの軌道はゴールではなく、その手前に落ちる。
 スタンバイしていた味方の選手が跳び上がり、そのボールに手を伸ばした。
 その選手をマークしていた敵陣の選手が反応したのは、一秒ほど遅れてのことだった。
 タイミングがずれたこともあって、ボールをキャッチした選手のマークが一瞬外れる。
 残り時間は一分を切った。
 両手でしっかりボールを掴み、ジャンプする。
 丁寧に手を添えて放られたシュートは、ゴール背後に設置された板にぶつかり、籠の中へと吸い込まれた。
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