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短編 思い出のカフェに
 春から夏へと移ろいつつある時節。
 普段から賑わう駅前のカフェにも夏のメニューが姿を現したという事もあって、店内は多数の女子学生で溢れていた。
 皆が制服姿で、夏服や冬服、デザイン等の違いこそあるが、学校帰りに寄っているであろうということは容易に想像がつく。
 心なしか、店の雰囲気も華やかになったような、そんな気がする。
 夏本番には不評な窓際やテラス席も、今は人気で数人の女子グループが占領している。
 数十分前までは、主婦たちの井戸端会議が行われていた店とは思えないほどの若返りである。
 そんなことを口にしたら非難は免れないだろうが、カフェという店の性質上、若い世代の方が好ましい。
 コーヒー一杯で一時間以上粘ることに比べると、季節限定のちょっとお高いドリンクで数十分で回転する彼女らはありがたい存在なのだ。
 ただ、その分店員の負担はちょっとばかし増えるわけだが、そこは少々高めの時給で頑張ってもらう。
 世の中はそんなものだ。
 空調の温度を少しばかり上げる。
 もうすぐ夕方となる時間帯は、急に気温が下がるものだ。
 さらに冷たいドリンクを飲んでいる客が多いのだから、体を冷やしてもらってはまずいというのもある。
 さすがにここまで客に気を遣う店舗は珍しいだろうし、自己満足と言われても仕方ないだろう。
 でも、そういうことの積み上げで現在の店があるのだと信じている。
 ここに店ができてからもう三年。
 駅前という競争が激化する環境において、あとどれくらい店を構えていられるかはわからない。
 でも、できることなら、これからもずっとここにあって欲しい。
 数年後、十年後、それ以上。
 ここで友達と一緒に笑ってた学生たちが、この町を離れて、そして戻ってきて、まだあったんだって帰ってきてくれる――そんな場所であってほしい。
 ささやかで、だけどかなり大きな夢。
 それが叶うかどうか、今は誰も知ることはない。
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