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短編 近所の文化祭
 学園祭や文化祭などといった学生たちの出し物というのは、予算の都合もあってかなりチープだったりするのだが、逆にそれが味わいだったり楽しみだったりする。
 テーブルも机を並べて上からテーブルクロスをかけるだけだったり、イスも硬めの材質で決して座り心地が良いものではない。
 だが、これらはより良い物を知っている人間ならではの感覚なのだろう。
 何より、ここにきている人たちは質の良い物を求めているのではなく、なんというか独特の雰囲気を求めているのだろう。
 そうでなければ、わざわざ時間を削ってまで学校になんて赴いたりはしないだろう。
 もっとも、現役の学生たちにとっては仲間たちと一緒に作業をしたりできる時間が楽しかったりするのだろうから、関係ないのだろうが。
 ただ、学校という存在はこの国に住んでいる人間であればほぼ全員が在籍したことのある場所だ。
 それ故に、当時の自分と比較したりしながら、思い出に浸ったりする大人も結構いる。
 当時はそんな大人になることはないと思っていた自分でも、そういう社会の波風に晒されると感覚というものは変わっていくのだから、悲しいものだ。
 ……なんて、今の自分の現状を嘆いていては時間の無駄になってしまう。
 文化祭なんてのは、一年のうち数日しか存在しない夢の時間のようなものだ。
 このどこか浮き足立った空気によって、無意識のうちに自分も少しばかり足取りが早くなる。
 とりあえず、露店の飲食物は後回しでもいいだろう。
 優先するならイベントだとか、出し物系だろうか。
 入り口で配られたプログラムリストを見てみるが、今の時間はどうやらライブの最中らしい。
 イベントの最中は出入りが禁止されているらしいので、近くの教室の出し物でも見てみるのが良いだろう。
 最寄りの教室の出し物は、どうやら占いか何からしい。
 こういうのは普段はまったくやらないし、信じないのだが、学生がこういう事をやっているのも物珍しいので顔をのぞかせてみる。
 中には机が3つほど並べられていて、それぞれが衝立で仕切られている。
 さすがに防音とまではいかないが、そこまでプライベートに踏み込むような本格的な内容ではないのだろう。
 文化祭の出し物としては、これで十分ともいえる。
 だがさすがに占い師役に男子生徒はいないらしい。
 男女平等が叫ばれる世の中だが、学内の風潮というのはまだ根強く残っているらしい。
 元々興味がない人が多いというのも理由だろうが。
「……あの、いかがいたしました?」
 受付らしい女子生徒が話しかけてくる。
 そりゃあ、入口で立ち尽くしていたら声を掛けられるのも仕方ないだろう。
「あ、すいません。それで――」
 さて、学生はどんな占いをしてくれるのだろうか。
 若い感性に期待をしながら、促されるまま最奥の席へとつくのだった。
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