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短編 つい考える、洗濯のこと
 身体から水分が抜けていくのがわかる。
 肌を伝う汗は、重力に引っ張られるがまま大地を目指し、その道中で幾多の同士と出会い、大粒の雫と化す。
 そして、行き場を失った者たちは一気に中空へと身を投じる。
 唇が渇く。
 身体中が汗まみれだ。
 着ている衣服もべとべとで、今すぐにでもはぎ取ってしまいたいくらいに。
 でも、脱いだら脱いだで、この湧き上がる不快感から脱することができるというわけでもない。
 噴き出る汗の出所は全身だ。
 頭のてっぺんから足の先まで。
 部分的に汗腺の少ない個所等の差異こそあるが、全身くまなく包み込んでいるこの灼熱の空気の前では、絶対的な安全地帯など存在はしない。
 自分にこんなにも汗腺があったのかと、触覚的に理解できるくらいのすごい量だ。
 人間は一日に数リットルの水を摂取しなければ生きてはいけないと聞いたことはあるが、それもあながち間違いではないのかもしれない。
 いち早くシャワーが浴びたい。
 冷たいシャワーもいいが、ほどよくぬるい水温のものも捨てがたい。
 冷水は、どうにも身体がほてってしまうような感じがして、あまり好きではないのだ。
 逆に熱いシャワーだと、シャワー室を出た後で涼しくは感じるのだが、しばらく汗が出続けて、どうにも二度手間感が出てしまう。
 中途半端にぬるいシャワーで熱せられた頭と体から程よく奪い、爽快感を覚えたうえで、リセットする。
 どうせまた炎天下へ出て同じ目に遭うのだ。
 少しの間だけでもそういう不快からは遠ざかりたいと思うのは決して悪い事でもないだろう。
 ただ、今シャワーを浴びる上での最大の問題は、この近くにそのような施設があるのかという事と、利用するだけの金銭を持ち合わせているかという事。
 そして何より、着替え用の衣服など持ってきていないという事だ。
 いっそのこと、このまま水辺に飛び込んでもいいのではないだろうかなどという考えが浮かぶ。
 この天気ならびしょ濡れの衣服もすぐに乾くだろう。
 ……もっとも、この服がドライクリーニング専用だなどという、面倒臭い仕様でなければという前提が必要なのだけど。
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