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短編 サンドロード
 長く続く街道。
 周囲に建物はなく、目に映るのはまばらに生える草と、砂を被った乾いた大地ばかりだった。
 空には雲が天全体を覆い隠さんばかりに広がっていて、あと数分もすれば大粒の雨が降り注いでしまいそうなほど。
 それでも雲の薄い部分は割とあちこちにあって、くすんだ色の大地のあちらこちらに光の筋が降り立つという、幻想的な光景をしていた。
 できることなら、雨が降り出す前にこの場から走り去ってしまいたい。
 そうは思うが、地面はカラッカラに乾いていて、普通に歩いているだけでも砂煙が立ち上ってしまう。
 せめてもう少し湿度が高かったり、大地が湿っていたならよかったのに。
 もしくは防塵マスクやゴーグルといった完全装備を用意できていたら……。
 ――いや、そんなことを今更考えていても仕方がない。
 ハンカチを口元に当て、目を細めてできるだけ砂を蹴っ飛ばさないよう足を動かした方が良いだろう。
 こんな時ばかりは自動車だとか、機密性の割と高い乗り物がうらやましくなる。
 もっとも、道路とは言うものの目の前に伸びているのは、ろくに整備されてもいない、砂地に線を引いてできた程度のもの。
 自動車があったところでまともに走行できるとは限らない。
 そもそも自分は運転免許を持っていない。
 自動車があったところで運転できなければ意味がない。
 やっぱり、長距離移動をするにはそれなりに技術を持った人をその都度見つけるか、その手のエキスパートを仲間に加えて一緒に行動するのが良かったのかもしれない。
 ……今更になってそれを悔いても仕方がない。
 とりあえず今は、はるか遠方に見えるか見えないかの小さな点を目指す他ない。
 到底来た道を引き返すだなんて不毛な真似はしたくはなかったし。
 この調子であれば、あと半日もあれば次の町に到着するだろう。
 雨に濡れるのは嫌だが、逆に開き直れば降ってもらった方が砂も飛び跳ねないし、移動しやすくなるかもしれない。
 ただ、洗濯の量がちょっと増えるというのは家事全般が得意でない自分にとって少しばかりの重荷になりそうではあるが。
 とにかく、天を覆う雲の下では、若干冷たい空気がほてった身体を冷やしてくれて心地が良い。
 汗で身体が過剰に冷えてしまわないか、それだけを気を付けながら、自由気ままの精神で凹凸の激しい道路に足跡をつけていく。
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