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短編 マスクドゲーム
 白と黒、二色の市松模様が広がるボードの上では、これまた白と黒の二色をした駒たちが互いに睨み合っていた。
 元は同じ数だけいた駒も、戦況が変化するにつれてその数を減らし、盤面の優劣が徐々にではあるが、見え始めている。
 部屋の中には男性が一人。
 白いシャツに茶色のベスト、下はスラックスにこげ茶色をした革靴という出で立ちで、木製のアンティークな雰囲気を漂わせた椅子に腰を下ろしている。
 体格はがっしりというよりは、どちらかというと細身で、顔のラインもすっきりして聡明そうな印象を受ける。
 髪は主に黒色の短髪だが、短髪と呼ぶには若干ボリューミーといえなくもない。
 ただ、髪のあちらこちらに白髪が混じっているせいで、思ったほど重苦しい印象は受けない。
 男性は顎に手を当てながら、特に何かを口にするでもなく、ただ目の前のテーブルの上を注視していた。
 テーブルの上には白黒のボードと、取り除かれただろう駒たち、そして封の切られた封書とその中味らしき手紙が置かれている。
「……興味深い」
 男性の口から出た言葉が、室内に響いて、そして消えていく。
 そのまま男性は椅子の背もたれによりかかりながら、天を仰ぐ。
 彼の頭の中には、きっとこのゲームの今後起こり得るであろうパターンがいくつも並んでいるのだろう。
 目を閉じ、集中しながら、右手の指先を小さく動かしながら駒の動きをイメージしていく。
 一手先、二手先を想像しながら、時に顔をしかめつつ、どうするのが最善手なのかを導き出していく。
 そんな時間が数分ほど続いたところで、男性は急に体を起こし、テーブルの上にあった手紙を手に取った。
 手紙を開き、改めて中味を確認する。
 そこに書かれていたのは、相手方の最近の一手。
 険しい顔のまま、手紙を注視しつつ、男性は再び考え込む。
 そして、小さく頷くと男性は手紙を元の位置に戻し、盤面の駒を動かした。
 相手が正統派でないなら、こちらも真っ当に受ける義理もない――そう口にしているような、どこか開き直ったような表情のまま席を立つ。
 向かう先は部屋の隅にあった小さな机だった。
 机の上には真っ白な紙と便箋が、万年筆を重石にたたずんでいた。
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