IPPI STYLE
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
短編 闇沼
 美しく映る世界の裏側には、それと同等の醜さが潜んでいるものだ。
 ただ、それらは蓋がされ、一般の人の目には留まらないようにできている。
 それ故に、生涯その存在に気づかずにいる人もかなりの数存在する。
 それはそれで幸せなのだろう。
 だが、世の中には運悪く、その醜い現場に立ち会わなければならない人もいる。
 それは仕事の為であったり、何かの代償としてであったり、あるいは偶然目にしてしまったり。
 興味本位でそこに首を突っ込もうとする人間も少なからずいるが、それで癒えることのない傷を負う者も多数存在する。
 裏社会という言葉を使って表現する者もいる。
 言葉の響きはカッコよさを覚えるものだが、決してその実情は甘いものではない。
 かといって、裏側から表社会を牛耳るだとかいう大それた部分もない。
 強いて例えるなら、切り離された世界、見捨てられた世界といったところだろう。
 そんな社会だからこそ、人間の生き様だとか執念、渇望といった感情などが、露骨に表れてくるものだ。
 生き残る為には手段を選ばない――そんな意気込みが空気感から伝わってくる。
 昼と夜とで印象が変わるというように、同じ場所であっても、表の世界か裏の世界かで見える光景も違ってくるのだ。
 ――裏の世界からの光景が見えた時点で、もう手遅れであるともいえるが。
 踏み入れてしまった闇の世界。
 それはまるで底なし沼にはまったかのように一人の力ではどうにもならない。
 そこから引き揚げてくれる人間の存在があれば、もしかしたらという事もあるかもしれない。
 しかし、世の中は残酷だ。
 手助けしてくれる人など存在しない。
 この世界の存在は知られてはいけない――そんな暗黙の了解によって、人は孤立するのだ。
 もしかしたら、この裏の世界は求めているのかもしれない。
 すべてを闇に呑みこまれながらも、その闇すら取り込んで這い上がっていこうとする、強い執念を。
スポンサーサイト
コメント
コメント
コメントの投稿
URL:
本文:
パスワード:
非公開コメント: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
トラックバック URL
トラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。