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短編 燃え上がる
 赤々と燃える炎は、周囲を明るく照らし出し、見る者すべてをその光の虜にしていた。
 時折吹く風を吸い込み、炎はその都度より大きく燃え上がる様は、自然への畏怖をおのずと感じてしまいそうなほどだ。
 炎との距離はそれほど離れてはいない。
 それ故に、時折火花がぱちぱちと飛んできたりもして、顔が少しかゆく感じる。
 熱風が顔の皮膚を炙り、反射的に逃げ出したくなる。
 焼き焦がれる感覚はこんなものなのだろうかと思いながらも、その体はその場に釘づけにされたかのように両脚は動かなかった。
 炎の魔力というのだろうか、不思議な魅力によって意識がないがしろにされる。
 よく、催眠術などでろうそくの灯を見つめていると催眠の世界に入ってしまうという話を聞くが、それに何か関係しているのかもしれない。
 しかし、それを確認する手段もなければ、それほど知りたいという欲求もない。
 ただ、今目の前に広がっているのは、まぎれもなく現実の炎であり、下手をすれば自分すらもただでは済まない。
 もしここに鏡があって、自分の姿を客観的に視認することができたなら、きっと日焼けをしたように真っ赤になっているに違いない。
 それからのことはあまり覚えていない。
 ただ目の前で燃える炎がその勢いを増していく。
 まるで天まで伸びる灼熱の花がその花弁を思い切り広げるように、神々しさと気高さと、妖艶な雰囲気が一度に感じられた。
 視界が光で包まれる。
 眼球が乾いていく。
 全身の毛孔が開いていくような、不思議な感覚だった。
 白か赤か、それとも黄色か。
 暁色ともいえる炎のグラデーション。
 それを網膜に焼き付けたところで、世界がホワイトアウトする。
 まるで夢に落ちるように。
 どこまでも意識は沈んでいく。
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