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短編 空を飛ぶ怪
 人が空を飛ぶわけはない。
 そんな事、改めて口に出すまでもないほどにわかりきっていたはずなのに。
 今、実際にこうして目の当たりにすると、自身の常識とかみ合わなくて、顔には出さないものの、頭の中は混乱していた。
 ありえるはずのない事態。
 それを自身の納得のいく形で理解するには、とある仮説にしか行きつかなかった。
 ――何かしらのトリックが隠されている。
 目に見えないワイヤーが張られているのではないだろうか。
 それとも、鏡か何かでその場にはない光景を映し出しているのではないだろうか。
 それらを検証しようにも、自分の置かれている状況はあまりにも不利だった。
 まず夜という時間帯。
 日光という最高のライトがないおかげで、人間の目には人工光で照らし出された部分には注意が及びにくい。
 これでは看破しようにもかなりの時間と集中力を要してしまう。
 次に対象との距離だ。
 空を飛ぶというからには、地上に立っている自分との距離は必然的に開いていくのは当然のことなのだが、それ以前に何かしらのギミックがあったとしてもこちらがそれを悟るのはかなり難しい。
 目の前で浮かぶプロセスを確認できるならともかく、そうではないという事は何か大それた仕掛けが用意されている可能性を残しているということでもあるのだ。
 最後に挙げられるのは、その飛行時間だ。
 何かでつられているのであれば、その挙動を動き方から予測することも可能だ。
 しかしながら、それが短時間であるなら、それを見抜くのは難しい。
 同じ場所に留まっていないのなら猶更だ。
 結局、遠くで飛行している様子を見せられて、その仕組みを悟らせずに信じろというのは、手品やマジックショーでよくある手法に他ならない。
 それを信じろという方が無理な話だ。
 逆に、だからこそ燃えるというものでもあったりする。
 奴の空飛ぶ秘密――それを暴いてこそ、この手品に対する勝者となるのだ。
 そうと決まれば、その者が空を飛んだであろう場所の周辺を探索してみるのが一番だろう。
 今ならまだ間に合う。
 証拠を片づけられる前に、現場を押さえるのだ。
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