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短編 ごろごろ
 縁側につるされた風鈴が、涼やかな音を奏でているものの、蒸すような暑さはお世辞にも和らいだとは言い難い。
 せめて日影になっていたならまだ救いはあったのだろうが、妙に角度の付いた日差しが家の中にまで足を伸ばし、暖房のように空気を温めていく。
 こういう時ばかりは閉め切った部屋でクーラーの冷気に身を投じたくなる。
 もっとも、涼しい部屋に慣れてしまったら慣れてしまったで外出の際には干上がってしまいそうだという思いもある。
 木張りの廊下はまだ幾分温度が低く、触れた部分が冷たく感じられた。
 結果的にはごろごろと転がることになるのだが、人目に触れる場所でもないのだし、問題はないだろう。
 そのための塀や囲いだと言っても過言ではない。
 決して広いとは言えないが、目の前に広がる庭も、数分前にまいた水が跡形もなく消え去っている。
 一雨来てくれたりしないかと思いながら、仰向けになって額の汗をぬぐう。
 来ている衣服もびしょ濡れだ。
 放っておいたら廊下自体が汗で溢れてしまうのではないかというくらいに汗が止まらない。
 まぁ、廊下が濡れたところでこの暑さだ。
 すぐに乾燥してしまうに違いない。
 それ以上に耐えがたいのが肌に張り付いた衣服と中途半端に冷えた汗の冷たさだ。
 冷たいのは歓迎なのだが、それ以上に不快感がつきまとってどうにも耐え難い。
 いっそのこと全部衣服をはぎ取って転がりたい衝動にも駆られる。
 だが、さすがにどこから誰がのぞいてくるかもわからないので、最低限見られても大丈夫な姿でありたいというのがあって、そこまでは思いきれなかった。
 これが夕方だとか朝方であったなら、過ごしやすいともいえるのだろうが、昼というのがなんとも意地が悪い。
 風も太陽の熱で温められているのかと思うくらいに温風が吹き付けられて、苦笑いを浮かべてしまいそうだ。
 どれくらいの時間そこで寝転がっていたのだろうか。
 さすがに堪え切れなくなって体を起こす。
 身体が水分を欲していた。
 確か冷蔵庫にまだ麦茶が残っていたはずだと思い返し、台所へ向かう。
 もうすぐ冷たい飲み物が味わえる――そんな期待がほんの一瞬ではあるが、暑さを吹き飛ばしてくれていた。
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