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短編 壺を見る少女
「これが、かの有名な骨董品ですか」
 大きな瞳をぱちくりさせながら、少女は豪勢な台の上に載っている壺を眺めていた。
 壺のサイズは少女の上半身をすっぽり覆い隠してしまいそうなほどで、全体に細やかな模様が施されている。
 骨董品の知識がない者であっても、それが相当な値打ちがあるものだと想像するに難くないだろう逸品だ。
 目を輝かせる少女に対し、少し離れた位置から近づいてきたのは小太りの男性。
 着衣から察するに、裕福な人間であるということがわかる。
 それも当然。
 彼は違うことなきこの屋敷の主なのだ。
 男性は足を止め、少女の隣に立った。
「えぇ、少々値は張ったんですがね。何といいましょうか、心を惹かれるものがあったというか、運命を感じたというか……」
「なるほど、何だかわかる気がします!」
 少女は顔を上げて男性に答える。
 その様子に、男性は柔和な顔つきをさらにゆるめて笑った。
「そうですか。お気に召したようでよかった。まだ時間はあるはずですし好きなだけ見て行ってください」
「はい! ありがとうございます!」
 まばゆい笑顔を返す少女に対し、男性は満足そうにうなずくと、後ろで手を組みながら、ゆっくりと通路を歩んでいく。
 そして、突き当りにある扉の、その向こう側へと消えていった。
「……でも、本当に面白い。見る度に新しい発見があるわ」
 再び一人になったところで、少女は興奮気味につぶやく。
「あぁ、触りたい。触って隅々まで確認したい」
 十本の指を忙しなく動かして少女はもだえる。
 それは傍から見れば不気味な光景だった。
 ただ、当の本人は視野が壺へと向けられているので気付いていない。
 それ故に、壺の近辺には少女以外の人の姿が近寄ることはなく、そんな状況が十数分間にわたり、続くこととなった。
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