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短編 晴れ渡る都市
 平日の昼間だというのに、街道は溢れんばかりの人でごった返していた。
 この国で一番人口の多い都市であることは当然だが、それでもこの場所は別格だと思う。
 朝方の通勤、通学時間であったなら多少は異なるだろうが、それは置いておくとしよう。
 パッと見たところ、比較的若者の姿の方が多い印象だ。
 それが学生たちかというと、制服姿はそれほどあるわけでもなく、むしろ私服姿の人間の方が多く思える。
 ただ、それらが歩道からはみ出そうなほどの込み具合で往来しているのだから、人混みが苦手な人には地獄ともいえる空間かもしれない。
 元々道幅がそれほど広く作られていない事や、街道沿いの店が店頭に商品を並べていることもあって、更に狭くなっているのもゴミゴミした印象を受ける要因になっている。
 また、見た目ばかりでなく音の部分でもこの人混みは一味違っていた。
 無言で歩く人々だけというのはさすがに異様な光景ではあるが、多少のお喋りをしながら歩く人々も、その数が増えたなら相当な騒音になる。
 すぐ近くを通る車の音も、もしかしたらかき消されてしまうのではないかという程だ。
 それ故に、呼び込みをする人の声や広告の音声は自然と大きくなる。
 更に言えば、この人の数だ、熱気というのも通常以上に感じる。
 コンクリートやアスファルトといった物質が満ちている空間では、熱がこもりやすいというが、間違いではないだろう。
 唯一の救いは風が通り抜けていく事から体感温度が若干下がるということくらいだ。
 慣れていない人間では、歩いているだけで汗だくになること違いない。
 時間に余裕があるのなら、すぐにでもどこかの店に飛び込んで冷房に当たりたいという感覚にとらわれるだろう。
 最悪、タクシーを使って移動でもすればよかったかななどと後悔する始末だ。
 ……もっとも、今から乗ったところで噴き出た汗が消えるわけではないが。
 そうこう考えながら歩いている内に空に雲がかかる。
 幾分マシになった天気に、足取りは少し軽くなる。
 心に余裕が生まれ、顔が上向く。
 そこには賑やかな都会の姿が、ドンとそびえていた。
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