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短編 帰り道
 霊園だとか墓地という空間は、死者を弔っている場所ということもあって、独特の雰囲気があるように思える。
 思い込みというのもあるのかもしれないが、自分がいま目にしているもの以外の何かが存在しているような気がしないでもない。
 もっとも、霊だとかお化けという存在を盲信しているわけではないので、雰囲気に呑まれてそんなことを考えてしまっているという感じだろうか。
 ただ、どこで見聞きしたかは忘れたが、霊は墓地にはいないという考え方もあるらしい。
 とういうのも、霊は肉体に宿っていないのだから、思念体として思い入れが強かった場所だとか、自分が最後に居た場所に留まることも多いという。
 そういう意味では墓地というのは単に肉体だったものが安置されているだけの存在で、特段留まる意味はない場所なのだとか。
 ……自分自身、霊感が一切ないので、それが真実なのか、わからないが、妙に納得したのを覚えている。
 それでも夜の墓地というのは、進んで入りたくはない場所であるというのは変わらない。
 学校、病院に続いて三本の指に入るレベルの、夜には絶対行きたくない場所候補だ。
 大人になって見分が広がったのなら、もしかしたら考え方も大きく変わるのかもしれないが、今の段階ではこの3つは外れることはないだろう。
 そうなると、じゃあ何で自分がここに来ているのかという、至極まっとうな質問が生まれてしまうわけだ。
 熱心な教徒とというわけでもないし、今日何かしらのイベントが催されているわけでもない。
 まぁ、イベントと言っても肝試しくらいしか思いつかないし、やったとしても結構な罰当たりだろうが。
 答えは単純にここを抜けると家に近い――ただそれだけだ。
 元々人通りの少ない地域ということもあって、道路も整備されておらず、細い路地が長く続いている。
 一つ先の比較的大きな通りに抜けるには、この場所が一番早いのだ。
 ここを通るか通らないかで十分くらい差がでるのだから、通らないわけにもいかないだろう。
 時間というより、歩く距離が長くなるのが嫌という気持ちの方が多いのが本音だけど。
 墓地の中を歩くが、何が怖いかというと灯りが極端に少ないという事だ。
 それなりに広さがあるおかげで、通路にぽつんと立った外灯が照らし出す世界以外は漆黒の闇に包まれている。
 ほんの少し、歩幅が広くなる。
 流れる景色が輪郭を失っていく。
 不安というのは人間をここまで焦燥にさせるものなのだろうか。
 結局、墓地を抜けて出たのはいつもの通りで、いつもの光景がそこには広がっていた。
 一体自分は何をあそこまで焦っていたのだろうと、呆れてしまう程にだ。
 しかし、それを気にしていても仕方がない。
 さっさと帰って、冷たいドリンクでも頂くとしよう。
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