IPPI STYLE
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
短編 反転した時計
 どんな学校にも怪談や七不思議のような噂があるような印象があるが、自分の場合、そういった類のうわさはまるで耳にした記憶がない。
 それは単に自分自身、そういった話に疎いだけだったのかもしれないが、自分の周りの友達がそういった話題について語っていることもなかったし、部活の先輩も話していた記憶はなかったのが事実だ。
 そもそも、そういう恐怖談話について話す機会というのは大抵が学校での合宿だとかそういう特殊な状況に限った話で、そういう場がなかったのも要因の一つなのかもしれない。
 では、なぜそんな事を考えたりしたのかというと、今の自分が立たされている現状がそれに関するからという事に他ならない。
 今現在、時間は夜の10時を過ぎて学校の中を巡回している。
 学校といってもどこにでもあるようなコンクリート建築で、特別怖いだとかいう認識もない。
 創立してからまだ十数年ということもあって、どちらかというと新しい部類に入るだろう。
 自分の子供の頃とはまったく異なる校舎に、怖さは感じなかった。
 色々な場所で警備をしてきた身としては、深夜のデパートと大差はない。
 おかげで足取りも軽く、あくびが口から漏れ出る。
 自分の足音も響きはするが、怖さはない。
 むしろ他の足音が聞こえた方が恐怖を覚えるくらいだ。
 今の時代、幽霊だとかおばけよりも、人間の方がずっと怖い存在だ。
 とはいってもセキュリティはそれなりに厳しいので、誰かが潜入したならすぐに警報が鳴る。
 それまでは自由気ままに巡回をすればいいのだから、気楽なものだ。
 それ故に、給料もあまり良いとはいえないのが唯一の不満といえるだろう。
 階段を上ると、踊り場に姿見の鏡があった。
 自分の姿が反射して写るが、別段変わったところはない。
 手にしたライトの光が反射して若干眩しかったりするが、その程度だ。
 そのまま階段を上り、上の階へ到達すると、再び廊下を歩き始める。
 短調な作業に意識がぼんやりとしてくる。
 眠気が強くなる時間帯というのもあったせいかもしれない。
 半ば作業的に教室の施錠を確認し、次の教室へと向かう作業を繰り返す。
 そんな中、とある空き教室の扉の施錠を確認しようとすると、ガラガラと音を上げて扉は開いた。
 鍵のかけ忘れかと内心舌打ちしながら、念のために教室の中へ入る。
 そこは机も椅子も何もなく、綺麗なタイルが敷き詰められた、ただの空き教室だった。
 念のため、室内へライトの光を巡らせてみるが、人影はない。
 生徒だとか教師だとか、人が残っていないのなら、それでいい。
 そう思い再び廊下に戻ろうと踵を返した瞬間、ふと視界の端にアナログ式の壁掛け時計が目に入った。
 普通なら見過ごしているところだが、その時計に違和感を覚えたこともあり、動きを止めてもう一度時計を注視する。
 その時計は、一言で表すと奇妙だった。
 まるで鏡に映したかのように、時計の文字盤や数字までもが真逆を向いていたのだ。
スポンサーサイト
コメント
コメント
コメントの投稿
URL:
本文:
パスワード:
非公開コメント: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
トラックバック URL
トラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。