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短編 思春期の一コマ
 午後3時の空は、晴れと言えば晴れだが、雲の量が多くて青と白――雲の影は灰色に見えたりもするがその二色での表現でも間違いではないだろう――のまだらの模様をしているように見えた。
 太陽も消えたり現れたりを繰り返して、視界の端に入っている学校のグラウンドも、その明暗が反映されている。
 部活動もまだ本格的に始まっているというわけではなく、早めに集まった部員たちが準備やらを始めていることが、声の緩み具合からわかった。
 元々自分がいる位置は校舎裏のちょうどグラウンドからは死角になっている場所だ。
 太陽が高く昇る真昼くらいしか日の照らない、校舎と体育用具の入った小屋に挟まれた小さなスペースだ。
 そのせいもあって、足元の土と校舎の継ぎ目には雑草よりもコケのような植物が生えている。
 何故そんな場所にいるのかというと、特に理由はない。
 人目の届かない場所で、一人物思いにふけるというのは、年頃の若者にはよくあることだとでも言っておきたい。
 ……それが、周りからどう見えているかというのは差し控えさせてもらいたい。
 とにかく、思春期特有の自己陶酔によって一人満足げに時間を浪費していたわけだ。
 だが、それも若さゆえにそう長くは続かない。
 体感時間はそれなりに長いものだが、実際は大した時間は経っていないなどよくある話だ。
 足元に置いていた通学用のバッグを手に取り、そのまま校舎の外壁を伝うように、玄関に向けて歩き始める。
 グラウンド全体の様子が見える位置までくると、どうやら部活動も本格的に始まるらしく、さっきまでの緩んだ声とは一変、キビキビと張り詰めたような声が遠くから聞こえてくる。
 熱心なものだと感心半分、嘲り半分で眺めながらも、すぐに興味は失せて、思考は既に家路の方へと向いていた。
 帰りに書店で何か見ていこうか。
 それとファストフード店で何か買ってもいいだろう。
 俗物と言えばそれまでだが、ある意味素直ともいえる単純思考。
 変に背伸びするよりも、ずっとわかりやすく、それ故に憎めない、そんなキャラクターがそこにいた。
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