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短編 深夜ご飯
 テーブルの上に並べられた料理には、すべてラップが張られていた。
 そこに妻の姿は無い。
 きっと彼女はもう寝室で深い眠りに就いているのだろう。
 頭では分かっていたが、毎度この場に立つと一人で食べる食事の寂しさを思い知らされる。
 深く溜息を吐くが、空腹は容赦なく自身の腹鳴らし催促してくる。
「……食うか」
 ラップの張られた皿を手に、電子レンジへと向かう。
 電子レンジの中に皿を入れ、温めのボタンを押す。
 その間に逆さまに置かれた茶碗を手に取ると、今度は炊飯器へ。
 保温状態になった炊飯器のふたを開くと、暖かな湯気がもわっと上がり、顔に掛かる。
 しゃもじでご飯をよそい、炊飯器のふたを閉めて戻ると、今度はお椀を手に取る。
 こちらはインスタントの味噌汁の容器が中に入っていた。
 封を切って、空容器をゴミ箱へ放ると、ポットのお湯を注いでいく。
 程良くお湯を注ぎ終える頃、電子レンジがチンと音を上げた。
 味噌汁をかきまぜ終えた所で、テーブルの上にお椀を置くと、再びレンジの元へ向かう。
 レンジの口を開き、中に置かれた皿を取り出す。
 若干加熱し過ぎたのか、皿もかなり熱くなっており、自然と動きも早くなる。
 ご飯、味噌汁、おかずがテーブルに並んだ。
 あとは食べるだけだが――さすがにそろそろ静寂が侘しく感じてきた。
 気を紛らわす意味も込めて、リモコンでテレビの電源を入れる。
 電源が入ると、深夜の放送枠でやっている外国の映画の音声が流れ始める。
 聞き慣れない言語が耳へと入ってくるが、それでも構わなかった。
 今は、この静寂を忘れさせるだけの何かが欲しかったのだ。
 そこでようやく、食事に入る。
 温かなご飯は身体の内側から全身へと染みわたり、自然と溜息が漏れた。
 しかし、目の前にはいつもいるはずの彼女の姿は無い。
 不意にこみ上げてくる寂しさを振り切るように、お椀をテーブルに置く。
「早く、この生活にも慣れないとな……」
 そう呟くと、視線をわずかに上へと伸ばし――そして残りのご飯を口の中へと掻き込むのだった。
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自宅警備員ですが
3t7CGGoZ
引きこもりな俺が、
引きこもりを卒業したきっかけと理由
http://U7d7i4zn.uqtera.com/U7d7i4zn/
2013/01/20(日) 17:39:59 | URL | ヒッキー #rHMOPQTU [ 編集 ]
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